2024年11月23日 – 12月29日
ヨンウン美術館にて、韓国では初めての個展《단색화 연구 Study of Dansaekhwa》を開催いたします。
•会期 전시일정: 2024. 11.23 – 12.29
•会場 전시장소: 영은미술관 제 2전시장
•オープニングレセプション 오프닝: 11.30(토) 16:00
•会場 영은미술관
Youngeun Museum of Contemporary Art
http://www.youngeunmuseum.org/main/
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単色画は、1970年代の韓国の芸術家たちによって実践された絵画形式で、モノクローム絵画の意味である。
視覚、精神、パフォーマンスといった多様な形式と素材を特徴としている。
日本では、李 禹煥(リ・ウファン)が有名だが、例えば、単色画の先駆者でもある鄭相和(チョン・サンファ)の作品は、キャンバスを折り曲げ、それによって生じるひび割れを利用し、絵具を繰り返し塗ったり、剥がしたりすることで、強度のある絵画が生まれた。
彼の作品の物質性において「身体」という物理的なアナロジーが単色画を理解する上で極めて重要であることに気づいた。
絵画の物質性と行為に関して、単色画は現在の制作との類似点があり、私自身の研究に値する。
私は、一貫して人物を描いてきたが、顔の表面の色と質との関係に対しての問題をよりクローズアップするために、韓国に滞在し、単色絵画を学ぶことにした。
ヨンウン美術館のレジデンスのスタジオでは、韓国でアルミ製のキャンバスを工場で制作し、抽象化した人物画の習作を50点ほど描いた。
さて、大きなテーマの一つである西洋美術やアメリカとの関係性についても重要な点である。
1975年、東京銀座の東京画廊で開催された「韓国人アーティスト5人:5種類の白」、そして1977年、著名な評論家兼キュレーターの中原佑介が企画した東京セントラル美術館での「韓国:現代美術の様相」などである。
これらの評価は、西洋の批評家だけでなく、韓国の評論家からもあがった。
しかし、これらの作品は西洋の流行の模倣であり、母国の伝統を表現していないと非難する意見もあった。
単色画の行為と具象からの離脱の根底にある政治的傾向と、アメリカにおける抽象表現主義が、戦後の共産主義国の支配的だった社会リアリズムに対するアメリカ独自の対抗姿勢として、政治的に同時に位置づけられたことの間には、興味深い類似点がある。
冷戦の真っ只中、グリーンバーグなどのアメリカの多くの著名な批評家や歴史家は、芸術の頂点、つまり政治的および“美”に対する反抗の象徴として抽象表現主義を称賛し、推進した。
アメリカ抽象表現主義の推進を果たし、同時に「国際主義」の一形態として、米国民に他国での同様の芸術表現を紹介し、共産主義の社会リアリズムの影響を脇に追いやった。
これは、隣国に北朝鮮の共産主義国家がある韓国の場合に当てはまる。アメリカは抽象表現主義を推進することで共産主義の文化的影響に対抗するために芸術という手段をとる一方で、ベトナム戦争に韓国軍を派遣する代わりに朴正煕大統領の政権に軍事的、経済的援助も行っていた。
単色画の芸術家たちは具象表現を放棄し、プロパガンダの視覚表現を困難にしつつ、国内の展覧会に参加し続けた。
これは、革命の一形態だと考える。
単色画は、世界各地における歴史と擦り合わせながら今も調査が進んでいる。
単に西洋構造の模倣に過ぎないと見なすことはできない。
非ヨーロッパのモダニズムに関する議論は、なぜほとんど常に模倣とナショナリズムのレトリックの枠内で組み立てられるのだろうか。
この様な関係性は、単色画についてさらに探求すべき重要な問題だ。
さらに、日本の絵画史でも、当てはまる点があると考え、私は残りの韓国滞在期間中、具体やアンフォルメルなどの日本における社会主義リアリズムに対抗する西洋の価値観としての美術動向を含めて研究することにする。
これらは、この時代の多くの芸術家による哲学的、政治的、芸術的な交渉と議論の 1 つであり、世界の複雑な歴史、地理、芸術の系譜によるネットワークの中にあると言える。