と書いた。 今回の連続個展では、去年2024年暮れに韓国広州市に滞在し、制作した一連の人物や家具などをモチーフとする作品が第一期「Study of Dansaekhwa」(2025年3月5日-3月16日)の中心を占めていたのに対して、第二期「Dansaekhwa」(同年3月21日-4月20日)では帰国後の最新作が大作を含め数多くの紹介されている。韓国現代美術の一潮流である「Dansaekhwa(単色画)」に現地で触れたことで、そのモノクロームとマチエールの独自性に関心を持ち、こころ惹かれたことで、それまでの過剰ともいえるほどの奔放な色感に溢れた作品がかなり抑えられ、いままでの自分の制作を「エポケー(括弧入れ)」する態度が前面に現れはじめていた。もちろん、それでも、あのレリーフ状の半立体作品ともいえるほどの大量の絵具の厚みは、基本、変わることはなく、単純に壁に掛けられた絵という風にだけではとらえ切れないものであり、実際、墨色の絵具と石膏を木製の心棒付きの台座に塗って盛った完全に立体の《Kkachi까치》と題された作品もいくつか生まれている。日本語では「かささぎ」。塊としての絵具をひとつの原型として提示する作品であり、動物表現独特の自然な寛ぎを感じさせるけれども、「単色画」に呼応する、必要にして十分な試行を重ねる創作姿勢が、ほのかに、だが確実に、高さ25.5cmという、この作家としてはささやかな規模であっても窺えるのだ。
画廊の正面の窓から正対することのできる大作《Color of Scales:Blue》は、油彩、顔料でなんとも深い紺色がいつもの分厚い絵具層から滲みでているのだけれど、ぐっと近寄ってみると、画面の上辺あたりに蜜蝋が重ね塗りされていて、そこに白い粉が散らばっているような表情が生まれようとしていたのだった。描いた物質が別のものに繊細に変容していく渦中にある。そのことを感じて、わたしは、最後にこう書いたのだった。